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甘いルックスとワルなサウンドのギャップにもう虜!台湾で一斉を風靡した李英宏 aka DJ Didilong って知ってる?

2017.12.10

ポップで明るい台湾音楽とは真逆のダークな魅力が話題の実力派ラッパー「李英宏」。台湾語でのラップ『台北直直撞』は、2016年にリリースされるやいなや、社会現象とも言えるほどに若者たちの支持を集めました。ワールドツアーが始まったばかりの彼の魅力を、Howto Taiwan特別インタビューと共にご紹介します。

こんにちは!編集長の小伶(しゃおりん)です。
突然ですが、皆さん、C-POP(Chinese Pops)は好きですか!?

旅行やグルメは随分メジャーになった台湾ですが、まだまだ台湾のエンタメにまでハマっていないという方は多いのではないでしょうか。文化やご飯は大好きだけど、台湾の音楽は中国語が分からないしイマイチ入り込めない… という方も少なくないはず。

しかし、声を大にして言いたい!!!
台湾人の文化や日常に触れたいのであれば、台湾エンタメほど素晴らしい近道はないということ…!
音楽のサウンドや歌詞、台湾ではお馴染みの素晴らしいMVや、有名デザイナーを起用してつくられるCDジャケットまで。台湾人アーティストたちが生み出す様々な作品は、どれも一言では語り尽くせないほどに奥深く、一度ハマってしまうと抜け出せない魅力があるのです。

そんな愛してやまない台湾エンタメをさらに世界に広めるべく、Howto Taiwanでもこれまでイチオシのアーティストたちをピックアップしてきましたが、今日ご紹介したいのは、台湾の若者世代のハートを掴んで放さない実力派ラッパー「李英宏 aka DJ Didilong」。若者たちにとっては古いイメージのある「台湾語」を、全く新しいクールな音楽に作り変えた彼の魅力をたっぷりお伝えします。

一度聴いたら忘れない「わ でぃでぃろん」
台湾の若者たちを虜にした、台湾語ラップのバッドな一面

台湾で人気のアーティストとして知られる五月天(Mayday)や周杰倫(ジェイ・チョウ)など… 聴いただけで元気が出るようなポップなサウンドや友情や恋愛などを歌った曲が魅力です。そんな爽やかで万人受けするような音楽とは、真逆の魅力で人気を集めているのが「李英宏(リー・インホン/lǐ yīnghóng) aka DJ Didilong」。

実は今年の夏に開催していた「台湾フェスタ2017」でも、LIPの田中佑典さんがイチオシのアーティストとしてご紹介していたのを覚えていますでしょうか!(その時の記事がこちら

甘いルックスとワルなサウンドのギャップにもう虜!台湾で一斉を風靡した李英宏 aka DJ Didilong って知ってる?

台湾のポップで明るい面とは少し違う、ちょっとワルな一面。モデルのような端正で甘いルックスに、煙草を吸い、ノーヘルメットでバイクに乗って悪そうな仲間とつるむ姿。そんな彼の代表曲である台湾語ラップ『台北直直撞(TAIPEI DIDILONG)』は、2016年にリリースされるやいなや、社会現象とも言えるほどに若者たちの支持を集めました。

一度聴けば、きっと耳から離れない「わ でぃでぃろん、わ でぃでぃろん」というメロディ。
言わずもがな、彼の別名である DJ.Didilong は、この曲のサビにある「我直直撞(わ でぃでぃろん/僕はただひたすらに突き進む)」という台湾語の歌詞からきています。

16歲で音楽を始め、17歲で大手レコード会社と契約した彼は、ラッパーとしてCDもリリースしましたが、早々に引退して大学へ進学。なんと卒業後は道路工事の仕事を含めて、様々な仕事を経験していたのだそう。一度はミュージックシーンから姿を消した彼ですが、その後は自身の音楽プロデュースの才能を活かし、台湾のヒップホップレーベルである顏社(KAO!INC.)にて、MVのプロデューサーとして活躍。数年経って、やはり自分も改めて音楽の道へ進みたいと思い立ち、2016年にソロデビューを果たしたのだそう。

そうしてリリースされた代表曲『台北直直撞(TAIPEI DIDILONG)』が収録されたアルバムは大ヒット!
台湾のグラミー賞として知られる『金曲賞』では、2017年の「ベスト台湾語シンガー賞」「ベスト台湾語アルバム賞」にもノミネートされました。

台湾人にとって馴染みが深く、ルーツとも言える「台湾語」。そんな昔から変わらずあるものが、彼のラップと組み合わさった瞬間、まるで化学反応のように新しい音楽になったのです。

どこまでも “台” であること。李英宏の音楽へのこだわり

甘いルックスとワルなサウンドのギャップにもう虜!台湾で一斉を風靡した李英宏 aka DJ Didilong って知ってる?

今回そんな李英宏にインタビューをさせてもらう機会があり、彼のデビューに至るまでの経緯や音楽へのこだわりについてお話を聞くことができました。

2017年には映画「癡情男子漢(すべては愛のため)」にも出演し、メディアでは「イケメン!」ともてはやされることも多い李英宏ですが、彼の持つ深い考えは、決して表面上のものだけでは語れないもの。彼の言葉の節々から見え隠れする「闇」のようなものが、彼の音楽や生み出す作品により深みを持たせているようにも感じます。



ー ミュージシャンとしてのデビューのきっかけを教えてください

正直初めは、自分がアーティストになるなんて考え少しもなかったんだ。
ただ、サラリーマンとして働いているイメージは持てなかった。ところが仕事を辞めたあとに突然、自分のアルバムを作りたい、という衝動に駆られたんだ。それが最後の一枚だっていい、あとのことなんて考えなくていい、強烈な使命感のような気持ちに追われて、毎日レコーディング室にこもったんだよ。

大学時代から様々な仕事をしてきたけど、一番長く続いたのは、道路工事のリーダーの仕事だったな。今思い返してみると、寒い冬の雨の中、仕事仲間と道路をつくっていると、心の中でやっぱりどこかで何か強い”感触”みたいなものがあったんだ。デビュー前はただずっと仕事をしている日々だったし、自分の本当にやりたいことなんて出来ていなかったけど、それでもこれだけ時間が経ったいまでは、僕が通ってきたすべての道に意味があったんだと思えるよ。

甘いルックスとワルなサウンドのギャップにもう虜!台湾で一斉を風靡した李英宏 aka DJ Didilong って知ってる?

ー 曲をつくるとき、どんなものからインスピレーションを受けていますか?

目的も理由もなく、ただ遊んでいるようなときに一番インスピレーションを受けているかな。
僕の音楽はアメリカと日本の影響をかなり受けているんだけど、歌詞の内容なんかは、自分の生活の中で感じたリアルな感情をもとにしているんだ。特にブルーカラーの仕事をする人たちの物語には強く影響を受けているかな、やっぱり自分が成長させられた環境でもあるから。

ー CDジャケットやMVなども含めてどれも最高にカッコイイ! そのこだわりがあれば教えてください

常に ”台” であること。つまり、台湾らしい色を持ち続けることかな。

甘いルックスとワルなサウンドのギャップにもう虜!台湾で一斉を風靡した李英宏 aka DJ Didilong って知ってる?

台湾のヒップホップアーティストたちが世界へ!日本公演も

さて、ここまで李英宏の魅力を知ってもらいたい!とご紹介してきましたが、なななんとこの12月、彼らが所属するレーベル「顏社(KAO!INC.)」が設立10周年を記念したワールドツアーを開催! 早くもNYとLAでの公演を終え、次は東京、大阪、北京、上海、深圳を回るのだそう。

▶ 東京 2017/12/15(金) 原宿アストロホール
▶ 大阪 2017/12/18(月) OSAKA MUSE

(チケット情報はこちら

今回のツアーでは、李英宏以外にも、台湾でヒップホップを一般層に浸透させる原動力となった「蛋堡(Soft Lipa)」や、本格派のインディーズラップ王「國蛋(GorDoN)」、台湾全国ツアー12公演チケットを3日間で完売し、台湾の若者の間で絶大な支持を得つつある最高にパンクな二人組「夜貓組(よるねこぐみ、Yeemao)」の合計4組。

甘いルックスとワルなサウンドのギャップにもう虜!台湾で一斉を風靡した李英宏 aka DJ Didilong って知ってる?

チケットはまだぎりぎり発売中ですので、彼らの最高にクールな音楽や、世界でも活躍する台湾のヒップホップレーベル「顏社」の世界に生で触れたい方はぜひぜひ!チェックしてみてくださいね!

まずは聴いてみてほしい!台湾ヒップホップのクールな世界

今回の日本公演を目前に控えて、日本に関するエピソードを聞いてみると、「僕の成長過程の中で、日本の文化には数え切れないほど触れてきたから一つ一つ挙げるのは難しいよ」 と話しながらも「最近は本屋さんで、ジブリのトトロと魔女の宅急便を買えたのが嬉しかったな!」と無邪気に語っていた李英宏 (なにそのギャップ!!可愛すぎる…!)

甘いルックスとワルなサウンドのギャップにもう虜!台湾で一斉を風靡した李英宏 aka DJ Didilong って知ってる?

改めて彼の生み出す作品や音楽を聞いていて、彼がいかに「台湾」という文化を大切にしているかを感じさせられました。台北の夜の街をあちらこちらへ、まるで彼らの日常を映し出したかのようなMVは、見ているだけで彼らの仲間になれるような不思議な魅力があります。

そんな彼らが世界へ。例えるならば、アメリカの黒人アーティストが、自分たちのルーツであるブラックミュージックを引っさげて、台湾の外へ進出するのに近いのかもしれません。その歴史的瞬間を、ぜひ読者の皆さんにも見届けていただきたい!

いつもに増して暑苦しい記事になってしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました!

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