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台北「順益台湾原住民博物館」で学ぶ、自然と共に生きる台湾原住民族の世界

2017.10.20

「台湾原住民族」とは漢民族などが移住する前から台湾で暮らしていた先住民族のこと。実は台北の故宮博物院のすぐ向かいに、彼らの文化や習慣について学べる博物館があるのを知っていますか?「順益台湾原住民博物館」をご紹介します。

みなさんは「台湾原住民族」って聞いたことありますか?
中国語が公用語の台湾では中華文化が主だと思われているかもしれませんが、実は漢民族が移住してくるもっと前から台湾に暮らしていた人々がいるのです。この先住民族のことを台湾では「原住民族」と呼んでいます。

今日はあまり知られていない台湾原住民族のディープな世界について紹介していきたいと思います。

台湾原住民族って何?日本との歴史的なつながりも

台湾は多民族社会。四方を海に囲まれており、歴史的に様々な民族が暮らしてきました。「台湾原住民族」とは漢民族などが移住する前から台湾で暮らしていた先住民族のこと。山に暮らす人々や漁業を生業とする人々など、部族ごとに言語や文化が異なっています。

2017年の時点で政府から認定を受けているのは16族。人口は約55万人で、総人口の2%を占めるといわれています。

実は、日本とのつながりも深い台湾原住民族。
台湾が日本統治を受けていた時代、彼らの生活にも大きな影響を与えました。見た目や生活文化の違いから当時は差別的な名称で呼ばれていたこともあり、大規模な抗日蜂起事件も起きています。これらの事件をテーマにした映画「セデック・バレ」も、2013年に日本で公開されていました。

そんな台湾原住民族の文化について学べる博物館が、実は台湾旅行で多くの人が訪れる故宮博物院の向かいにあるんです。それが「順益台湾原住民博物館」!ここでは、展示を通じて様々な部族について紹介しています。

“自然と共に生きる” 台湾原住民族

台湾原住民族は自然環境を自らの生活に取り入れ、独自の文化を形成してきました。この博物館では彼らの生活や文化を知ることができます。

博物館1階に展示されているのは東部の離島、蘭嶼に暮らすタオ族が漁に出るときに使う船。小型のものは「タタラ」と呼ばれており、大型のものは「チヌリクラン」といいます。昔はすべて自然の材料で色付けされていました。

船の白い部分は貝殻で塗られていて、漁業を生業とするタオ族の生活文化がうかがえます。船の装飾には「人」や「太陽」を意味するマークが施されています。

よく見るとところどころに切れ目が入っています。この船、複数の材木を一切くぎを使わずに組み合わせて作られているのだとか。

台湾原住民族に見る、「男の世界」

博物館2階では台湾原住民族の生活に関する展示をしています。
性別によって役割が分かれている部族が多く、男性は狩猟や漁、戦いなど生活における大事な役割を負っているので、2階は「男の世界」として紹介されているのだとか。たくさん展示されているこの壺も、大部分の部族では男性が作るものとされているそうです。

中でも印象的だったのが南部の景勝地、阿里山のツォウ族。男性の集会所である「Kuba(クバ)」は部族の中核的存在で、神聖な儀式を行う場所。女性は足を踏み入れることは許されず、男性が狩りや戦いの訓練を行ったり、政治に関する話し合いを行ったりするそうです。

色鮮やかな衣装やアクセサリーがたくさん!「女の世界」

部族ごとに文化や習慣が異なる台湾原住民族。もちろん衣服や装飾品もそれぞれ違っていて、模様や図柄、それに込められた意味もさまざま。生活に関する道具は男性が作るとされることが多いのに対し、衣服を作るのは女性の役割。なので、3階では台湾原住民族の「女の世界」を見ることができます。

台湾原住民族にとって衣服は自身の部族や地位を表す“ユニフォーム”。衣服の形や模様で自身の身分を表すので、文字を持たない彼らにとって文化の伝承という意味もあるそうです。

例えば上の写真の衣装には「百歩蛇(ヒャッポダ)」と呼ばれる蛇と人の頭の刺繍がほどこされています。南部に居住するパイワン族はこれらの刺繍をとても神聖なものだと考えており、身分の高い人のみが着けられる模様でもあるのだそう。

さらに、面白いのは衣装を“財布”代わりにすることもあったのだとか。ベストに貝殻やボタンなど貴重とされるものをたくさん縫い付けて物々交換に使っていたそう。

このビーズ、貝殻を細かく砕いて作ったもの!
もちろんすべて手作業で、ひとつひとつ縫いつけられています。北部や中部の山地で暮らすタイヤル族は貝殻を貨幣代わりにしていました。この衣装は富の象徴ともされており、首長など地位の高い人が身に着けていたそうです。

下の写真では、ところどころボタンが取れているのがわかりますか?
実はこれ、物々交換の際、ボタンを引きちぎって相手に渡していたからなんです。

鮮やかな色や模様が目を引く台湾原住民族の衣服。独特なデザインや色合いの衣装が多く、台湾現地では、ファッションを勉強している人が博物館に来ることもあるそうですよ〜!

また、部族ごとにことなるタトゥーを入れているのも台湾原住民族の特徴。
衣装と同じように自身の所属や地位など、身分を表す習慣として行われていました。しかし、日本統治時代に野蛮であるという理由で止めさせられたものもあるようです。

アニミズム信仰などを知ることができる、神秘的な「神の世界」

部族ごとに独特なお祭りや儀式などがあるのも台湾原住民族の特徴。
地下1階は、祖先崇拝や自然に精霊が宿っていると考えるアニミズム信仰などについて知ることができる「神の世界」です。儀式で使われる楽器や占いで使われる道具なども展示されています。

冒頭で紹介した蘭嶼に暮らすタオ族は「Anito(アニート)」と呼ばれる目に見えない悪霊を最も恐れています。彼らは鉄の帽子と武器で武装し、退治に出かけるのだとか。

身に着けるとこんな感じ。

さらに、少し衝撃的かもしれませんが、首狩りを行っていた部族に関する紹介も…。地下1階の奥のスペースで紹介されています。ぜひ、ガイドさんから話を聞いてみてください。

DIYで楽しもう!オリジナルグッズを旅の思い出に

博物館ではDIY講座も楽しめます。台湾原住民族らしいエスニックな図柄や明るいカラーを基調にしたかわいい小物を作ることができます。DIY教室は、団体客向け(要事前予約。10人以上~)と、個人向け(不定期開催)と二種類があります。

詳しくは博物館の公式サイトFacebookページをチェックしてくださいね。公式サイトは日本語にも対応しています!

鮮やかな色使いの小物やアクセサリーがいっぱい!ミュージアムショップ

ぜひおすすめしたいのはこちらのミュージアムショップ。博物館1階、入り口入ってすぐ左手にあります。ここでは、原住民族の人たちから直接買い付けた商品が売られているんです。

伝統的な工芸品からデザインがかわいらしいグッズまで、本来なら原住民族の村に行かないと買えない商品が、公平な価格で売られていますよ〜!

故宮博物院との共通チケットもあり!日本語ガイドも♪

こちらの博物館、入場料は大人150元、学生100元となっているのですが、故宮博物院との共通チケットも販売しています。こちらのお値段は320元!通常だと故宮博物院が250元なので、80元もお得なんです!故宮博物院に行く予定がある方は、是非合わせてチェックしてみてくださいね。

また開館は毎週火曜~日曜(9:00~17:00)で、月曜日と旧正月の期間中はお休みとなるので要注意!

お越しの際にはぜひガイドさんに案内していただくことをおすすめします。こちらでは紹介しきれない詳しい案内を聞くことができます。ガイドの予約は syjp2@syc.com.tw まで。2週間前までに予約をすれば、日本語にも対応してくださるそう!10人以上の団体であれば、DIY教室にも参加できちゃいます(要材料費)。よりふかーく学びたい方におすすめです。

台湾原住民族について知る入口に

少し固い話になりますが、台湾では民主化が進むと同時に、これらの台湾原住民族文化への再評価が行われるようになってきました。特に近年では2016年に発足した蔡英文政権の下、台湾原住民族をはじめとする少数民族の権利回復が積極的に進められています。しかし、文化保存や人口の流出など、社会的な課題はまだまだたくさん残されています。

台湾原住民族はもはや台湾を理解する上で避けては通れない道にもなっているのではないでしょうか。さまざまな部族の文化や日本とのつながりも含めて、台湾原住民族を知る「入口」としてぜひ博物館を訪れてほしいなと思います。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

施設情報

順益台湾原住民博物館 台北市士林區至善路二段282號 [地図(Google Map)で見る]
    • 営業時間:
    • 毎週火曜~日曜(9:00~17:00)
    • 定休日:
    • 毎週月曜(月曜が祝日の場合は営業)
      ※旧正月は月曜日もお休みとなり、振り替え営業などはありません

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