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台灣指南

12月に日本での公開が決定! 台湾映画『赤い糸 輪廻のひみつ』『あの頃、君を追いかけた』を手掛けた、九把刀(ギデンズ・コー)監督 インタビュー

2023.11.16

『あの頃、君を追いかけた』でおなじみの九把刀(ギデンズ・コー)監督が贈る大ヒット台湾映画 『赤い糸 輪廻のひみつ』(原題:『月老』)が 12/22(金)日本にて公開決定! 原作・監督・脚本を務めた九把刀さんに単独インタビューが実現しました。制作の裏話や、お気に入りのシーン、主題歌への想いなど… 気になる質問をぶつけてきましたよ♪

近年、じわじわと日本でも話題になっている台湾映画。
最近では動画配信サイトなどで気軽にヒット作が観られることもあり、台湾映画がより身近なものになっています。そんな中、またまた嬉しいニュースが飛び込んできました!

『あの頃、君を追いかけた』のギデンズ・コー監督が贈る大ヒット台湾映画 『赤い糸 輪廻のひみつ』が 2023年12月22日(金)日本にて公開決定! 11月の終わりには日本語版の予告編も公開されました。

『赤い糸 輪廻のひみつ』(原題:『月老』)は、台湾で2021年に公開され、興行収入2億6千万台湾ドル以上の大ヒットを遂げた話題作。台北映画祭ではオープニング上映作品に選ばれ、最優秀監督賞、最優秀主演男優賞、最優秀視覚効果賞を受賞。金馬奨でも最優秀視覚効果賞など、全3部門での受賞を果たしました。

台湾映画_月老 ©2023 MACHI XCELSIOR STUDIOS ALL RIGHTS RESERVED.

原作・監督・脚本を務めたのは、台湾の若者に絶大な人気を誇る作家であり、脚本家・映画監督でもある九把刀(ギデンズ・コー)氏。九把刀監督といえば、台湾で社会現象にもなった青春映画『那些年, 我們一起追的女孩(あの頃、君を追いかけた)』でおなじみかもしれません。同作は、2011年に公開されるやいなや世界中で大ヒット。日本でも『あの頃、君を追いかけた』の名前でリメイクされ、世界中に一大旋風を巻き起こしました。

そして、今冬日本で公開されることが決定した『赤い糸 輪廻のひみつ』の原作となったのは、九把刀監督が20年以上前に発表した小説…! 

長い年月を経た待望の映画化に、九把刀ファンは歓喜! さらに『あの頃、君を追いかけた』の柯震東(クー・チェンドン)や、『私の少女時代』の宋芸樺(ビビアン・ソン)、『返校』や『僕と幽霊が家族になった件』の王淨(ワン・ジン)など、大人気俳優の出演も大きな注目を集めています。

赤い糸 輪廻のひみつ 赤い糸 輪廻のひみつ ©2023 MACHI XCELSIOR STUDIOS ALL RIGHTS RESERVED.

早くも公開が待ちきれない〜〜〜〜! という状況ですが、10月13〜28日にて開催されていた台湾映画イベント『TAIWAN MOVIE WEEK(台湾映画週間)』にて、一足早く作品を観ることができました!

コメディ、ホラー、アクション、ラブロマンスが、ぎゅっと詰め込まれたような目まぐるしい作品で、台湾エンタメ好きならおもわずニヤニヤしてしまうような小ネタやパロディも満載! もう一度観たい!と思わずにはいられない伏線回収的な面白さもあり、大満足の128分でした(エンドロールまで素敵でほっこり)。

12月に日本での公開が決定! 台湾映画『赤い糸 輪廻のひみつ』『あの頃、君を追いかけた』を手掛けた、九把刀(ギデンズ・コー)監督 インタビュー ユナイテッド・シネマ アクアシティお台場にて開催された「TAIWAN MOVIE WEEK(台湾映像週間)」オープニングイベントでのトークショーの様子

というわけで、前置きが長くなってしまいましたが、こちらのイベントでは、なんと幸運にも…! 来日された九把刀監督への単独インタビューが実現しました!!!

12月に日本での公開が決定! 台湾映画『赤い糸 輪廻のひみつ』『あの頃、君を追いかけた』を手掛けた、九把刀(ギデンズ・コー)監督 インタビュー

制作の裏話や、お気に入りのシーン、主題歌への想い、お気に入りの早餐店(朝ごはん屋さん)まで!(笑) ファン視点での質問をあれこれぶつけてきましたよ〜〜! ぜひ最後までご覧ください♪

20年以上前の小説を映画化! 制作にあたっての裏話

ー 本作品は、監督が20年以上前に出版された小説が原作になっていますが、映画化にあたって最も苦労されたことはなんですか?

一番大変だったのは、小説の中のシーンをどのように選択して映像化するか? ということですね。小説で読むとストーリー展開として面白くても、映像作品になったときに違和感があるシーンも多いので、そのあたりの選別にはかなり悩まされました。

例えば、小説の中では、西洋のキューピッドと台湾の月老(※)が対決するシーンがあるんですが、キューピッドの設定って、全身裸体で羽だけ生えてるわけで…。小説では成り立っても、そのキャラクターのまま映像作品になると、どうしても見るに堪えないものになってしまうかなと(笑)。映画化にあたってはカットになったシーンですね。

(※)月老(ユエラオ)・・・台湾の縁結びの神様「月下老人」のこと。 本作では、主人公は死後の世界で月老として現世で人々の縁結びをすることになる。

ー 確かに…。ちなみに、台湾らしいジョークも多い印象だったのですが、日本の人たちに受け入れられるか心配はなかったですか? 日本での公開にあたってカットしたシーンなどはあるのでしょうか?

12月に日本での公開が決定! 台湾映画『赤い糸 輪廻のひみつ』『あの頃、君を追いかけた』を手掛けた、九把刀(ギデンズ・コー)監督 インタビュー ©2023 MACHI XCELSIOR STUDIOS ALL RIGHTS RESERVED.

日本での公開にあたってカットしたシーンというのは、おそらくないですね。
笑いのツボの部分も、僕はあまり心配していなくて、それよりも、やっぱり原作をもとに映像化しているので、原作を先に読んだ読者やファンへの期待に応えられるか? という心配の方が強かったです。

読者の一人ひとりが「このシーンは絶対入れてほしい」と思うものがそれぞれにあるはずで、僕も作者として、それを先読みして入れているわけですが……。例えば、僕がカットしたキューピッドのシーンが欲しかった読者もいるはずです。

逆に「なんでこのシーンを入れたのか?」「このシーンは本当にいるのか?」と製作の過程で議論になることはありました。例えば、この映画でいうと、バイクの排気管のシーンとか(※)。人によっては低レベルでくだらないと感じるかもしれないけど、僕はあのシーンを映像化しないと、自分自身が作品をリスペクトしていないことになると感じたんですよ。

(※)バイクの排気管のシーン。詳しくはぜひ作品を観てください…!

賑やかで楽しい月老たちの登場シーン。発想はどこから?

ー 私のお気に入りのシーンは、たくさんの月老たちが一斉に踊りながら下界に降りてくるところなのですが、あの場面のアイデアは、どこから生まれたのでしょうか?

赤い糸 輪廻のひみつ ©2023 MACHI XCELSIOR STUDIOS ALL RIGHTS RESERVED.

月老たちが一斉に降りてくるというのは、旧暦の7/1に霊界の門(鬼門)が開いて、先祖や無縁仏の霊がこの世に戻って来るとされている、台湾の「鬼月」をイメージしています。登場シーンには、台湾の出棺時に奏でられるような伝統的な楽器の音楽を考えていたのですが、どこか不吉な雰囲気を醸し出してしまうなと…。

そこで、あえて日本のバンド BABYMETALの『ド・キ・ド・キ☆モーニング』という楽曲を当ててみました。月老たちの生き生きとした雰囲気が伝わると思ったし、より多くの人に受け入れられるだろうと考えたからです。

ー ゲームセンターから登場するというユーモアもあって、すごく楽しいシーンでした!

この演出がクリエイティブだったかどうか分かりませんが、僕が見せたかったのはさまざまな霊魂や魑魅魍魎がパレードをしているような、楽しくて生き生きとした雰囲気です。

孤独な幽霊がぼんやりと浮かんでいたり、ゆっくりとした動きもできたと思いますが、そういうのはやや古臭く感じたので、こういう演出になりました。

ー 監督のお気に入りのシーンはありますか?

犬に関わる、すべてのシーンですね(※)。

(※)本作では非常に重要な役割として犬が登場するのですが、役名には、監督が長年飼っていた亡き愛犬と同じ名前がつけられています…!

12月に日本での公開が決定! 台湾映画『赤い糸 輪廻のひみつ』『あの頃、君を追いかけた』を手掛けた、九把刀(ギデンズ・コー)監督 インタビュー©2023 MACHI XCELSIOR STUDIOS ALL RIGHTS RESERVED.

あとは、皆さんには伝えられないところですが、映像には出ていない製作チームや仲間との時間が、最も思い入れがある場面かもしれません。この作品に関わってくれた人はみんな原作を見て、物語に共感して、製作に参加してくれた方ばかりなんです。

映画の主題歌『如果可以』も大ヒット! どうやって決めた?

ー 九把刀監督の作品といえば、素晴らしい主題歌ですよね。
韋禮安(WeiBird)が歌う主題歌『如果可以』は、YouTubeの「THE FIRST TAKE」でも披露され、国内外で話題になりました。映画の主題歌の決定には、監督はどのように関わっていらっしゃるんでしょうか?

映画の主題歌はとても重要で、映画の最後にその曲が流れることで、映画の最初に回帰するような意味合いがあると思っています。通常のやり方だと「こんな映画を製作していて、主題歌を探しています」という感じで、通知を各レコード会社に出して募集することが多いんですが、それで寄せられた曲は、だいたいイマイチというか…… あまり作品にはマッチしないことが多いんです。

本作ではマネージャーから直接、『如果可以』の楽曲の提案があったのですが、初めて聴いた瞬間に「これは80点以上だな」と感じました。

実は作品の主題歌を『如果可以』に決定したときは、まだ最後のシーンを撮り終えていなかったんですよ。だから実際にこの曲を頭の中で流しながら、ラストシーンを撮影することができました。主題歌にあわせて映画を撮ることができたのは良かったですね。

ー 聴いた瞬間に「これだ!」と思われたんですね。
ちなみに… 監督のデビュー作『あの頃、君を追いかけた』も同じような感じでしたか? 主題歌の『那些年』はすっかり有名なラブソングになりましたよね。

『那些年』の場合はもうちょっと悲惨でしたね(笑)。
曲の調整にかなり時間をかけました。ただ、とにかく前奏のメロディが良かった。初めて聴いたときはベッドに横たわっていたんですが、聴いた瞬間、思わずガバっと起き上がって、携帯の最大音量で音楽を流しながら、映画のラストシーンの結婚式の場面に当てたほどです。

個人的な想いとして、気持ちが高ぶったままのメロディラインで終わってほしかったんですが、最初の段階ではそうではなかったので、何度も曲を作り直してもらいました。

ー 作曲を手掛けたのは、日本人の方でしたよね。

そうです。台湾在住の木村充利さんという方ですが、当時の彼は作曲家というわけではなく趣味で曲作りをされていて、だからこそ、欲しいイメージにあわせて、何度も何度も作り直しや調整をお願いできたんだと思います。

もしこれが大物の作曲家であれば、間違いなく激怒されていたでしょうね(笑)。木村さんはとても謙虚な方で、だからこそ一緒に良い曲づくりができました。その後に発表した映画作品『打噴嚏(ハクション!)』でも、主題歌の作曲を彼に依頼していますよ。

ー 『あの頃、君を追いかけた』、『赤い糸 輪廻のひみつ』、ともに主演を務めた俳優の柯震東(クー・チェンドン/Kai Ko)さんと監督は、まさに ”名コンビ!” という感じがします。主演に抜擢した想いについて教えてください。

僕が彼と初めて作品を作ったとき、まだ彼はスターではありませんでした。
だからこそ、言い方は良くないかもしれないけど、まるで使用人みたいに(笑)ああしてくれ、こうしてくれって、遠慮なく希望を伝えられたんです。その結果、ゼロから一緒にさまざまな困難を乗り越えることができたし、良い作品を作ることもできました。

プライベートにおいても、人生の辛い局面や困難を乗り越えてきたことをお互いに知っています。だからこそ、本作の監督をすることが決まったときは、迷わず彼を指名しました。彼と作品を作るのはとっても楽しいですよ。

監督自身は「輪廻転生」を信じる? パパのほっこりエピソード

ー 今回の作品『赤い糸 輪廻のひみつ』のテーマは、輪廻・転生ですが、監督自身は生まれ変わりや死後の世界、というものを信じていますか?

めちゃくちゃ信じているし、本当にそうであってほしいと願っています。
僕と奥さんは結婚当時は子供を持つ計画はなかったけど、愛犬をなくしたことをきっかけに自分の子供がほしいと思うようになったし、奥さんが妊娠したときは、その子が愛犬の生まれ変わりなのでは? と強く感じました。

今では娘に亡き愛犬の写真を見せながら「これが君の前世の様子だよ」って見せたりしています。昔からお父さんの相棒で、こんなに仲が良かったんだよって。それを信じて、娘はよく「自分の前世は犬だ」って話してますよ。名前は「くるみ」だそうです(笑)。

ー ほっこりするエピソードですね。ちなみに、二人の娘さんのパパになって、創作の面で変わったなと感じるようなことはありますか?

うーん……(少しの間、考え込んでから)なんにもないね!(笑)

自分がパパになったら、小さい子供向けの作品を撮りたくなるかな? なんて思っていたけどそんなことはなく、むしろ家の中で子供向けのアニメがずっと流れていて、すでに耐えられなくなってるぐらい(笑)。子供向けの作品が世の中に溢れているからこそ、自分はこれからも大人向けの作品を作り続けたいと感じています。

父親になって変わったところといえば、子どもたちに自分の作品や仕事を見てほしいと思うようになったところかな? うちの子どもたちはみんなママっ子で、僕は家庭の中ではまったく地位が高くなくて。だから、いつか仕事の現場で、自分のお父さんが、外でどれだけ歓迎を受けているのか、人気なのかを知ってほしいなと思ってます(笑)。

ー きっとお父さんを見る目が変わると思います!

うーん、どうかな〜(笑)。もし撮影の現場に連れて行くとしたら、子供が声を出したり走り回ったりしないように、かなり注意を払わないといけないでしょうね。台湾の現場では、もし撮影の邪魔をして撮り直しすることになったら、現場のスタッフみんなにドリンクを奢らないといけないしきたりがあるんですよね。

僕の現場はスタッフの数が多いから、子供の一回の奇声で、追加のワンテイク撮ることになっただけで、5〜6000元は飛んでいっちゃう! さすがにそれはクレイジーだね(笑)。

ー 最後に…… 作品とは全く関係ないのですが、監督のお気に入りの朝ごはん屋さんが知りたいです!(笑)

台湾でよく見かける朝食店チェーンの「美而美」!
ここの台湾式漢堡(ハンバーガー)が最高! 有名店のハンバーガーよりもずっと美味しいし、僕はあの肉が薄くてチープな感じが、たまらなく大好きなんです。それにぜひあわせてほしいのが、飲んだらお腹こわしそうになるぐらいに甘いミルクティー。(笑)

それを食べたら、最後は耳を全部カットしたチョコレートトースト。これが完璧な組み合わせですね!

ー ハンバーガーとチョコレートトースト!?(笑)

そうそう、この組み合わせを昔は毎日食べていたからかなり太りました(笑)。でも本当に美味しいから、つい今もたまに食べたくなるんだよね〜。

ー チョコレートトーストとの組み合わせは、今度ぜひやってみます!(笑)
映画の裏話も、プライベートなお話も、たくさん聞かせていただきありがとうございました!

編集後記&関連リンク

以上、九把刀監督のインタビューをお届けしました!
いつも明るくユーモアに溢れている印象の九把刀監督。取材でも楽しく、そしてとても丁寧にこちらの質問に答えてくれたのが印象的でした。貴重な機会に改めて感謝です。

12月に日本での公開が決定! 台湾映画『赤い糸 輪廻のひみつ』『あの頃、君を追いかけた』を手掛けた、九把刀(ギデンズ・コー)監督 インタビュー 九把刀監督、素敵なインタビューをありがとうございました〜〜〜! 2023年夏に台湾で公開された監督の最新作『請問、還有哪裡需要加強(Miss Shampoo)』も大きな話題を呼んでいるので、こちらも日本での公開が待たれます…!

台湾映画『赤い糸 輪廻のひみつ』は、2023年12月22日(金)より、「シネマート新宿」や「シネマート心斎橋」にて公開予定! 公式サイトでは、ムビチケ(前売り券)の発売も始まっています。

続報は、ぜひ 公式サイト やSNSの情報をチェックしてみてくださいね!
一人でも多くの方が劇場に足を運び、台湾映画の魅力に気づいてくれますように〜〜〜!

作品情報

『赤い糸 輪廻のひみつ』(原題:『月老』)
監督・脚本:ギデンズ・コー キャスト:クー・チェンドン、ビビアン・ソン、ワン・ジン
2021/台湾/128 分/カラー/シネスコ/5.1ch/原題:月老 Till We Meet Again
字幕翻訳:神部明世/配給:台湾映画社、台湾映画同好会

◆公式サイト:https://taiwanfilm.net/yuelao/
◆公式X:https://twitter.com/yuelao_jp
◆公式インスタグラム:https://www.instagram.com/taiwan.film_agency/?hl=ja

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