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待望の日本語版がついに!台湾発 ”大人の絵本” キュートで深いジミー・リャオの世界

2017.3.11

台湾・宜蘭出身の人気絵本作家「幾米(ジミー・リャオ)」氏をご存知ですか?
彼が描く鮮やかな色彩の絵と独自の世界観は、”大人の絵本”とも呼ばれ、台湾では知らない人はいないと言われています。そんなジミーの代表作「星空」がついに!日本語版でも出版されました!その魅力をたっぷりご紹介します。

大家好!編集長の小伶(しゃおりん)です。
皆さん、突然ですが、台湾にて大人たちからの絶大な人気を誇る絵本作家「幾米(ジミー・リャオ)」氏をご存知ですか?これまで50冊以上の絵本を出版し、なんと15ヶ国以上もの国で、その翻訳版が販売されています。

1999年に刊行された『君のいる場所』はベストセラーとなり、金城武主演で映画化されたことも。もちろんその作品は絵本の世界だけにとどまらず、ジミーの出身地である台湾・宜蘭には「幾米廣場(ジミー広場)」として、沢山のジミーによるアート作品が野外に展示され、写真を撮ったり、実際に触れたりできる観光スポットにもなっています。

2015年に新潟県で行われた世界最大級の国際芸術祭「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2015」にも、ジミーの作品が展示されたことも。

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でも、「大人の絵本」ってどんなもの?
今回はそんなジミー・リャオの世界とその魅力を余すことなくご紹介します!

これはハッピーエンド?
読者に深く考えさせる、不思議なストーリー

ジミーの絵本が台湾の大人たちから人気を集める理由。それは、なんといってもその深いストーリー。ジミーの絵本に登場する主人公たちは、あるときは孤独だったり、日常生活の中で忙殺されていたり、心から満たされていなかったり。誰にも理解されない小さなモヤモヤを抱えていたりするんです。

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大人たちがどこか共感を覚えてしまう、愛すべき主人公たちに起こる様々な出来事。その予想もできない展開に、知らず知らずのうちに引き込まれてしまいます。

そんな物語の結末はときに曖昧で、読む人やタイミングによっては、ハッピーエンドに見えたり、またある時は悲しくも見えたり。大人にしかわからないストーリーの奥行きがあり、一度読み終わると、もう一度最初から読みたくなる。そして読んだあとに、読者に深く考えさせるのがジミーの絵本の特徴なんです。

絵本というと、子供が読んでも理解できるイメージですが、この一見難解にも思える独自の世界観が、大人たちにもう忘れてしまった大切なことを思い起こさせたり、温かい、じんわりとした気持ちを呼び戻したりしているんですよね。

さらに、ジミーの絵本の特徴として気になるのが「登場人物に名前がない」ということ。 絵本の中の登場人物はいつも「彼」や「彼女」としか表現されていないので、そうしたポイントも、自分自身を重ねてしまう理由のひとつなのかもしれません。

独特の色づかいと表現、アートとして楽しめる世界観

さらに注目したいのは、ジミーの絵にあふれる独特の表現の数々!一度見ただけで「あ、これはジミーの作品だな」とすぐに分かるほど、その世界観は特徴的。

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ページをめくるたびに目が覚めるような鮮やかな色使いや表現は、ジミーの魅力のひとつ。ちなみに今回、日本語版でも出版された「星空」は構想から完成までに約5年という歳月がかかっているそう!

実際に読んでみると分かるのですが、絵本の中の物語を「絵」を使って表現するのではなく、物語の本筋や文字では語られていないことを絵の中で抽象的に表現していることもしばしば。

例えば「星空」の作品の中では、リビングで両親がケンカしているのを女の子が部屋でじっと聞いているのですが、その部屋のドアの隙間からは洪水のように水が溢れ出ていたり、部屋に置いているぬいぐるみの表情がシーンによってさりげなく変わっていたり。

とあるシーンでは女の子が突然、真っ赤な恐竜になって登場していたりするのですが、実際にそんな変身を遂げたわけではなく、彼女の心情をそうしたビジュアルで表現していたりするんですよね。

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ふ、深い….。
初めて読んだときは「え?なんで?」「そういう展開なの?」と混乱してしまうこともあるのですが、何度も読むたびに、その絵の奥底にある意味がじんわりと理解でき、少しずつ登場人物との距離も縮まっていくのです。

またジミーの他の作品に登場するキャラクターが(別のジミーの絵本に)登場することもあったり、登場人物の部屋には、ジミーのお気に入りの画家であるゴッホやマグリッドの絵画が飾られていたりと、彼自身の美的観念も溢れています。ジミーの世界に入り込めば入り込むほど、その随所に散りばめられた遊び心に気付き、ハマってしまうはず!

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物語自体、読むたびに感じ方が変わるとお伝えしましたが、これは”絵”だけに着目してみても同じ。初めて読んだときは見過ごしてしまう、ページごとに変わる主人公たちの変化に、読む度に気付いてしまうんです。

台湾各地でジミーの絵本の世界に飛び込もう!

そして台湾に行ったら是非遊びに行っていただきたい人気スポットが、台湾各地にあるジミー関連の観光スポット。最も有名なのは、ジミーの出身地でもある台湾・宜蘭の駅前にある大きな「幾米廣場(ジミー広場)」で、絵本作品の中から飛び出した登場人物や、有名なシーンが再現されたオブジェたちと写真を撮って楽しむことができます。

過去記事「台北からバスでわずか40分!温泉あり、ウイスキー蒸溜所あり、自然いっぱい楽しさ満点の“宜蘭”入門編♪」でもご紹介していましたが、宜蘭に降り立った駅がいきなりジミーの作品のキリンモチーフになっていたり。

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まるでジミーの絵本の中に飛び込んだような体験ができる、観光スポット!
台北からバスで40分ほどというアクセスの良さなので、台湾へ行ったら、是非遊びに行ってみてくださいね。

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実は私も、以前宜蘭に遊びに行ったときにこんな写真を撮りましたよ〜!
こちらは『ターンレフト・ターンライト(原題:向左走・向右走、日本語名:君のいる場所)』に登場する女の人です(例のごとく、登場人物に名前はなし)。

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台湾で最も有名なのは宜蘭駅のジミー広場ですが、それ以外にも、台北のMRT「南港」駅のプラットフォームの壁画がジミーの作品だったり、台東の比西里岸というエリアには「ジミー部落」と呼ばれる一帯もあります。

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また台南には「幾米許諾之地公園(ジミー公園)」と呼ばれるスポットも。

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さらにさらに!台湾東部の花蓮には「シャトー・デ・シンホテル」というジミー作品のデザインが施されたホテルまで登場しています。

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有名な宜蘭駅だけではなく、台湾各地で出会えるジミーの作品たち。台湾という小さな島の中だけでも、こんなに沢山ジミーの世界に触れられる場所があるなんて!

台湾で若者からお年寄りまで、沢山の方に愛されていることが分かりますよね。

ジミーの代表作「星空」の日本語版がついに…!

さて、そんなジミーの”大人の絵本”ですが、その独自の深い世界観ゆえ、なかなか中国語で読んでもいまいち理解できなかったり世界に入り込めなかったり…

が!ようやく…!!!
ジミーの代表作「星空」が待望の日本語版として、今年1月に出版されたんです!

原題と同じ「星空」というタイトルで、これまでも台湾の書籍を多く紹介されている台湾専門の翻訳家・天野健太郎さんによって翻訳されました。

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嬉しい〜!!!ついに!ジミーの「星空」を日本語で楽しめる日が…!
というわけで、私、東京都内で行われていたトークショー&サイン会にまで張り切って参加してきましたよ〜!

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今回のトークショーでは、ジミー・リャオさん本人だけではなく、台湾にも縁深い映画監督の永田琴さんを招いてのクロストークが行われました。ジミーさんの絵本のファンでもあるという永田さん。

今回出版された「星空」に登場する絵に隠された演出や、その裏にあるジミーさんの思考について深掘りをしたりと、まさに「さすが映画監督!」と思わせられる対話が印象的でした。

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登場人物の女の子の部屋がいつもどことなく暗いことや、男の子との距離感がページを追うごとに少しずつ近くなっていく小さな演出が施されていること、さらにこの作品において「赤」色の使われ方が印象的だといったお話を聞いていると、なんだか絵本作家の方のお話を聞いているというよりも、一人のアーティストの方のお話を聞いているような気分に!

「そんな見方があるのか!」という新しい発見も沢山あったりで、読めば読むほど新たな魅力に気がつくというジミーの絵本の奥深さに、さらに引き込まれました。

一方で、ジミーさん本人が自身の絵本について語っているのを聞くと、とっても謙虚な人柄ながら、絵本という作品の中に込めている情熱の強さ、思考の深さを感じずにはいられませんでした。

誰にも理解されない孤独などをテーマにしていることも多いので、一体どんな人なんだろう?とドキドキしながら行ったトークショーでしたが、ファンから寄せられた質問にも「そんなこともう忘れちゃったよ〜」と答えるおちゃめな一面もあったり(笑)。

待望の日本語版がついに!台湾発 ”大人の絵本” キュートで深いジミー・リャオの世界

このイベントでは最後に、台湾で大人気で、東京・表参道にも専門店を構える「微熱山丘(Sunny Hills/サニーヒルズ)」のパイナップルケーキが参加者に振る舞われるなど嬉しいサービスも。大満足のサイン会&トークショーとなりました。

ところで、ご存じの方も多いかと思いますが、この「星空」は、台湾では2009年に出版されていた一冊で、映画化もされています。台湾の大人気バンド五月天(Mayday)が主題歌の「星空」を歌い、そのPVでも映画のシーンが使われていたのを見たことはありませんか?

私自身、この「星空」の映画版の存在を知ったのも、五月天のPVがきっかけでした。

■五月天「星空」 OfficialMV



「星空」を絵本で読み終わったあとに、このPVを見ると、さらに感動が…!
初めて見たときは、五月天たちが歌うスタジオの背景の意味も分からなかったのですが、「星空」を読んだ方ならきっと…!(続きはぜひ、実際に読んでお楽しみください(笑))

「孤独なときも、あのときの気持ちを忘れない 影には、かならず光が届く」というコピーが付けられた、待望の日本語版、ジミーによる”大人の絵本”。

すでにアマゾンを始め、全国の書店でも販売されていますので、ぜひチェックしてみてくださいね!

HowtoTaiwan読者の方限定!
抽選で5名の方に「星空」日本語版をプレゼント!

そして今回はBIGなお知らせです〜!
この素敵な絵本「星空」を、台湾が大好きな読者の皆さんにぜひぜひ手にとってもらいたい!ということで、出版社のトゥーヴァージンズさんに特別にご用意いただき、HowtoTaiwan読者の皆さま(5名様)にプレゼントさせていただくことになりました!

待望の日本語版がついに!台湾発 ”大人の絵本” キュートで深いジミー・リャオの世界

応募はメールにて。以下のアンケート項目についてご記入の上、hello@howto-taiwan.com 宛にメールを送ってください♪締切は、2017年4月30日23:59とさせていただきます。なお、当選者の発表は賞品の発送をもってかえさせていただきます。

<「星空」プレゼント応募用アンケート>
1.ジミーさんを知ったきっかけは何ですか
 ・台湾の書店で原書を見て
 ・台湾のパブリックアートを見て(宜蘭の幾米広場、MRT南港駅など)
 ・日本で翻訳版を読んで(『君のいる場所』『地下鉄』など)
 ・HowtoTaiwanの記事を読んで
 ・知らなかった
 ・その他(詳しく教えてください)

2.今後読んでみたい台湾の書籍

3.台湾で興味関心のあること(複数回答可)
 ・グルメ
 ・エンタメ(映画、音楽)
 ・文化、歴史
 ・ライフスタイル
 ・その他(詳しく教えてください)

4.お名前、ご年齢
5.ご住所、電話番号
6.HowtoTaiwanで今後読みたい記事テーマ、感想、応援メッセージなど


皆さまからのご応募、沢山お待ちしていますよ〜!

というわけで今回は、台湾をはじめ世界で活躍する絵本作家、ジミー・リャオの世界をご紹介しました。これからもジミーの世界に日本語で触れられる機会がもっと増えると良いですよね。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました♪

【PR】こちらの記事はトゥーヴァージンズの提供でお届けしています

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