2026.8.7
台湾好きにはおなじみの万能調理家電「大同電鍋」。今回、台湾・桃園にある電鍋工場と、台北の大同の史料館を特別に見学してきました! かわいくて便利というイメージだけでは語りきれない、大同のものづくりへの情熱と、台湾の暮らしを支えてきた108年の歴史。「大同って、こんなにすごかったの!?」と驚きの連続だった一日をレポートします!
大家好〜! Howto Taiwan 編集長の小伶です。
台湾好きなら、きっと一度は目にしたことがある「大同電鍋」。台湾家庭や食堂、ホテル、コンビニなど、あらゆる場所で活躍している、あのレトロでかわいい万能調理家電です。
私自身、大同電鍋を使わない日はない! というほどのヘビーユーザーであり、過去に note やYouTube、Podcastなどで、大同電鍋の魅力についてたっぷり語ってきました。
そんな中、なんとこの度!
日本で大同電鍋を販売・展開している大同日本株式会社さんからお声がけいただき、台湾の桃園エリアにある大同電鍋の工場、そして台北にある創業者の生家や、かつてのオフィスをリノベーションした大同の史料館を見学させていただきました。
まずは一言。いや〜、偉大だった……!!!
台湾好きとしては、どうしても「大同電鍋=かわいい、ほっこり、台湾家庭の台所」というイメージが強かったのですが、実際に工場や史料館を訪れてみると、その印象が大きく変わりました。
今年で創業108年を誇る大同は、単なる電鍋メーカーではなく、台湾の工業化や人々の暮らしを何世代も支えてきた、まさに台湾を代表する電機メーカー。
電鍋への愛がますます深まったのはもちろん、「大同って、こんなに大きな存在だったのか……!」と何度も驚かされる一日になりました。そんな私の感動旅を、工場見学レポートと共にお届けします!
この日の集合場所は、台北MRT中山国小駅からすぐの場所にある大同本社!
意外にも大都会の真ん中にある大同本社。ビルには歴史を感じる、見慣れたロゴが。
大同電鍋ファンとしては、ここに来ただけですでに感慨深い……。

入口には、もちろん大同坊やの姿が! お目々クリクリ。さすが、期待を裏切りません。

さて、今回の工場見学ツアーの参加者は、「台湾台所探訪記」といった本を執筆されている作家の佐々木敬子さんや、大同電鍋の公式レシピも監修されているmimiさん、さらに家電ライターのオグチさんなどなど豪華メンバー! 大同電鍋への愛と知識が深い皆さんと一緒に、バスに乗って桃園の工場へ向かいます。

台北市内からバスで走ること、約40分。いよいよ、大同電鍋が作られている現場へ!
工場に到着して、まずは会議室で工場長や工場勤務の社員の皆さんにご挨拶。ここで、大同の歴史や現在の主力事業について説明を受けました。

扇風機や冷蔵庫などの家電、さらに太陽光パネルやスマートメーターなど電力関連の設備などを手がけていることはなんとなく知っていましたが、驚いたのが、大同が不動産事業も大きく展開していること。台湾各地に大同関連のビルがたくさんあるそうで、さすが台湾を代表する大企業……!
過去には「ウォール・ストリート・ジャーナル」の世界のトップイノベーション企業ランキングの1位に輝いたこともあるのだとか。大同電鍋の“ほっこりかわいい”イメージから一転! 世界に誇る一大企業なんです。
そして会社説明を終えて、いよいよ工場見学へ! と思ったら、ここで工場の方から一言。「ではさっそく、土地公に拜拜しましょう」!?
これ、なんとも台湾らしい流れですよね。土地公とは、その地域や土地を守る神様(土地神様)のこと。台湾にいるとあちこちで「土地公」を祀っているのを見かけますが、まさか工場の敷地内にもいらっしゃるとは……!
しかも、実際に見せていただくと、想像以上に立派な土地公廟がありました。どどーん!

さらに興味深かったのが、会社の中には土地公に関する部活? 同好会? のような活動があるそうで、神様の誕生日をお祝いしたり、寄付を募ったりしているのだとか。

工場員たちの安全や平和を守る、土地神様。しっかりご挨拶を終えて、いよいよ工場見学です!
満を持して工場内に入ると、見覚えのある大同電鍋の部品がずらり!
外釜、スイッチ、フタ、取っ手、コード……。普段見慣れている電鍋が、ひとつひとつの部品として並んでいる様子にテンションが上がります。奥の方には、見慣れた「オレンジ」と「緑色」の外釜も…!(どきどき)

工場ラインは、想像していたよりもかなりゆっくり。
大量の機械がガシャガシャと自動で組み立てていくのではなく、熟練のスタッフの方や、海外から来ている若い工場スタッフの方々が、一台ずつ丁寧に手作業で組み立てていました。


天井から吊り下げられた電動ドライバーを使って、外釜部分の配線を取り付け、一人ひとりが順番に部品を組み込んでいきます。


普段なにげなく使っているパーツが、目の前で手作業で取り付けられていく様子を見ると、感慨深い〜! 我が家で大活躍してくれている大同電鍋も、十年以上前にこの場所で生まれたんだなあ。
と、工場ラインを見学していると、ここで突然のワークショップタイムが!
なんと、電鍋のスイッチ部分、指でカッチンと押すあのツマミを取り付けさせてもらえることに!


作業自体は、パーツをプスッと差し込むだけ。
……なのですが、これが実際に出荷される電鍋だと思うと、緊張します。「失礼します….」という厳かな気持ちで取り付けさせていただきました(笑)。
組み立てが進むと、次は正常に動作するかを確認する工程へ。
大同電鍋は、外鍋に入れた水が蒸発すると自動でスイッチが切れる仕組み。
私もこれまで「外鍋の水がなくなるとスイッチが切れるんですよ〜」と説明していたのですが、工場で聞いてみると、厳密には内部の温度が一定まで上がることでスイッチが切れる仕組みなのだそう。実際の検査工程では、電鍋の温度を上げて、スイッチが正しく切れるかを確認していました。

20台以上の電鍋を一斉に200度まで加熱させるので、さすがにとっても熱いエリア。検査が終わった電鍋は冷やされるのですが、そのときに使われていた扇風機も、もちろん大同製でした。

そして、動作のチェックが終わると、いよいよ最終工程へ。
部品やスイッチの動き、フタがきちんと閉まるかなどを、スタッフの方がひとつひとつ手作業で確認していきます。
底パネルをはめ、段ボールに入れて、ようやく出荷準備完了!


ちなみに、大同電鍋の組み立てから段ボールに入るまでの工程は、約15分だそう! さすがはシンプルな仕組みの大同電鍋。ですが、このわずか15分ほどの間に、たくさんの人の手がかかっているんですね〜〜〜。
それにしても、大同電鍋といえば、本当に丈夫で何年使っても壊れないことで有名。我が家の電鍋も10年選手。さらに親から子へ、何世代にもわたって活躍し続けている電鍋もざらにある中で、毎日こんなに大量に大同電鍋を製造しているなんて……。

大丈夫!? そんなに沢山製造して本当に全部売れるの!? と思いませんか!?!?
目の前のベルトの上を無限に流れていく電鍋を見て、そんなことが頭をよぎり、思わず案内してくださった工場の方に聞いてしまいました(笑)。すると工場の方も「そうですよね、それは私たちも不思議なんですが、売れるんですよ〜」とおっしゃっていました。やっぱり、一家庭で何台も所有したりするからかな!?
実際、案内してくださった大同日本の社員さんは「実家には家族全員、一人一台ずつ電鍋があった」と驚きのエピソード! 家族それぞれでお気に入りのカラーも違うし、一人が使っていると他の人が使えないということもあるので、自分専用の電鍋を自室に置いていたのだとか。へえ〜〜!
そんなお話を聴きながら、一台の電鍋が次々と完成していくのを見て、ますます大同電鍋の台湾における存在感の大きさを実感しました。
組み立てラインを見学したあとは、工場内の別の建物へ移動。次に見せていただいたのは、電鍋本体の外釜を作る鋳物工場です。 鋳物(いもの)とは、金属を高温で溶かし、型に流し込んで冷やし固めることで製品を作る技術のこと。ここではアルミニウムを高温で溶かし、型に流し込んで、大同電鍋の外釜を作っていました。

とにかく、ものすごく暑い〜〜〜!
高温で溶けたアルミニウムが、とろ〜りと型に流れ込んでいく様子は、迫力がありながらも、どこか美しい光景でした。

できたてほやほやの外釜は、もちろん熱々。それを冷やしたあと、別のラインで研磨して整えていきます。


機械もかなり年季が入っていて、長年使われてきた工場の空気がそのまま残っている感じ。


ああ、こうやってできた外釜が、さっき見たラインで組み立てられていたんだな〜。


工場見学を終えると、最後に工場長からお土産までいただきました。 工場の皆さんにお礼を伝えて、バスに乗り込み、次の目的地へ向かいます。
桃園の工場見学を終え、台北の大同本社へ戻ってきました。ここからは、大同の歴史にふれる史料館の見学です。 実は大同本社の敷地は、大同大学、大同高校と、大同系列の私立学校に隣接しています。

さらに大同大学は建物自体も美しく、ブライダルフォトの撮影スポットとしても有名。

その敷地内に、大同の創業者である林尚志(リン・ショウシ)さんの生家である「志生紀念館」があります。一般開放はしていないようですが、グループの予約や、展示会などのイベントがある際には開放しているようです。イベント情報はFacebookページにてチェックできます。

こちらは国家文化資産の歴史的建築物にも指定されているようで、洋館のような外観でありながら、内部には畳の部屋もあり、当時の暮らしの雰囲気が感じられる面白い建物でした。館内には創業者である林さんの紹介パネルや、関連資料が展示されています。

このときは大同大学の学生さんによる卒業記念の展示会も行われていたので、二階部分のギャラリーには学生さんによるアート作品なども展示されていました。

1918年に創業した大同は、建築、電化製品、電力製品などを通して台湾の近代化を支えてきた企業。会社を大きく成長させたあと、二代目となる林挺生(リン・テイセイ)氏は、私立学校の設立など教育面にも力を注ぎ、台湾の発展に大きく貢献したそうです。
ちなみに、1918年といえば、パナソニック(旧・松下電気器具製作所)が創業した年でもあります。日本でいうところの松下幸之助のような存在なんだろうなあ。ちなみに、おそらく皆さんが見たことのある大同のロゴマーク。これは創業者の名前にある “志”という漢字からできています。

ところで、こちらの記念館にて、見たことのない緑色の大同坊やを発見!

実はこれ、大同大学の卒業生だけがもらえる特別な大同坊やなのだそう!
胸には卒業年が入っているレアアイテム。ちなみに、大同坊やの胸に書かれている数字は、大同の創業からの年数なんだとか。毎年製造されているんですね!
実際に、大同大学や付属高校も少しだけ見学させてもらいました。
校内の壁画には大同坊やが描かれていたりと、まさに大同マインドがあちこちに!

こちらの大同大学や付属高校は、やはりエンジニアリングや理系分野に強い学校のようで、男子学生が多いと聞きました。ものづくりに強い企業として台湾を支えてきた歴史と、そこで活躍するための人材育成がつながっていることを感じますね〜。
続いて訪れたのは、同じ敷地内にある大同の史料館「志生樓」。
こちらは残念ながら一般開放はしていないのですが、大同の最初の事務所として使われていた建物をリノベーションしているのですが、館内の梁など、当時の面影がそのまま残っています。

入るやいなや、大同坊やがお出迎え。ここでも改めて、大同坊やのキャラクターに込められた想いを聞かせていただきました。

ちなみに、大同坊や、なんでアメフト? なんでこのスタイル? など不思議に思ったことはありませんか?
記念館のガイドの方によると、坊やの大きな頭は、よく考え、実践と革新に敏感であること。そして大きな足は、しっかり大地を踏みしめ、誠実に実行していく精神。さらに手に持っているアメリカンフットボールのボールには、困難を恐れず、努力と責任感を持ってお客様にサービスを届ける、という想いが込められているのだそうです。
1918年に創業した大同ですが、大同坊やが誕生したのは、1969年。これはアポロ11号が月面着陸を果たした年と一緒だそうで、人類の大きな第一歩に感銘を受けて「大地をしっかり踏みしめ、大きな一歩を進める」といったメッセージを大同坊やに込めたのだとと言います。
ただのかわいいマスコットではなく、大同の企業精神をぎゅっと背負った存在だったんですね。
さて、こちらの史料館では、もともとは不動産業から始まったという大同の歴史や文化が、さまざまな資料とともに展示されていました。


館内には、スマートメーター、冷蔵庫、テレビなど、年代ものの大同製品がずらり。館内には大同製のスマートメーターがフィーチャーされていたのですが、こちらのスマートメーターは現在も日本のさまざまなメーカーで使われているそうで(残念ながら大同のロゴはないそう)、大同の確かな技術力を感じました。
さらに、こんなに年季の入った初代の大同電鍋も!



展示の中で特に印象に残ったのが、大同が作っていたコンピュータのパッケージ。

英語で書かれていたので聞いてみると、イギリスで販売されていたものなのだそう。 当時、コンピュータを作る技術力は台湾にあったものの、実際にそれを使うユーザーはまだ台湾国内には少なかったため、海外で販売していたのだとか。

大同電鍋のほっこりしたイメージから一転、世界に向けて技術を届けていたハイテク企業としての大同の姿に、かなり驚かされました。
「大同=電鍋」のイメージだけで見ていた自分、まだまだ浅かった……!
そして、おまたせしました。みんな大好き、大同坊やコレクション!

館内には、昔の広告宣伝用ポスターもたくさん飾られていました。
幸せそうな家族が過ごす部屋の中をよく見ると、片隅に小さな大同坊やのマスコットが、ちょこん。実はこの大同坊や、当時は大同製品を1万元以上購入した人だけがもらえるノベルティだったそうです!

つまり、家の中に大同坊やがあるということは、「大同製品をたくさん買える裕福な家庭」ということ……! こんなに可愛い顔の坊やが “富の象徴” だったとは……!
ちなみに大同本社の方によると、大同坊やの偽物もあちこちにあったようですが、「本物はまつげが5本、前髪のギザギザが3つ」とのことでした(笑)。
そんなこんなで、桃園の工場から台北の史料館まで、大同づくしの一日が終了!
工場では、一台一台の電鍋が人の手で丁寧に作られている様子を見ることができ、史料館では、大同が台湾の工業化や暮らし、教育に深く関わってきた歴史を知ることができました。
台湾好きにとっては、大同電鍋のかわいさや便利さに目が行きがちですが、その背景には、長い歴史と技術、そしてたくさんの人たちの手仕事がある。それを実感できたことで、大同電鍋への愛がますます深まりました。
工場の方々も、「日本にこんなに大同電鍋のファンがいるなんて!」と驚かれていたのが印象的。こちらこそ、台湾の台所を支え続けてきた大同電鍋に、日々お世話になっております……! という気持ちでご挨拶させてもらいました。

これからも日本で大同電鍋の魅力を布教していこうと、気が引き締まりました♡
なお、今回参加した工場見学のエピソードは Podcast「台湾好き女子のゆるっとおしゃべり」でもお話ししています(2026年8月12日更新)。臨場感のあるお喋りで、大同づくしの一日について語っていますので、お時間のある方はぜひこちらもチェックしてみてくださいね!
最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
\この記事をシェア/

この記事が気に入ったら
いいね!しよう
台湾の最新情報をお届けします♪
関連する記事
蔡依林が歌うバラード「台灣的心跳聲(台湾の鼓動)」、台湾の良さが歌詞に散りばめられたこの一曲は、どこか懐…
日本からオンライン受講も可能! 教科書ではなかなか学べない活きた中国語を習得できることで話題の「チェン台…
客家民族の集落として知られる屏東・佳冬。ガイドにはなかなか載っていませんが、歴史的な古蹟や客家文化がぎゅ…
「台湾原住民族」とは漢民族などが移住する前から台湾で暮らしていた先住民族のこと。実は台北の故宮博物院のす…
Howto Taiwanでは、
台湾が大好きなキュレーターを募集しています!