2025.8.25
東京・台湾文化センターにて、台湾漫画の魅力に触れられる展示会「-Colorful- ダイバーシティ in 台湾漫画」が2025年8月22日(金)〜 9月26日(金)までの約一ヶ月間開催されます! 本企画にちなんで、台湾で活躍する3人の人気漫画家の先生方(阮光民先生、左萱先生、重花先生)に、創作の原点や日本のカルチャーとの関わり、展示会に向けての想いなどを伺いました。

大家好〜! 編集長の小伶です。台湾の音楽や映画など、さまざまな台湾エンタメを日本でも楽しめるようになってきた今日このごろですが、読者の皆さんは「台湾漫画」に触れたことはありますか?
実は台湾には、優れた漫画作品に与えられる「金漫賞」と呼ばれる漫画賞があったり、台湾の漫画家さんが描いた作品が日本の「国際漫画賞」を受賞したりと、そのレベルの高さや面白さに年々注目が集まっているんです。
そんな台湾漫画の世界を堪能できるイベントが台湾文化センターにて開催されます!
タイトルは「-Colorful- ダイバーシティ in 台湾漫画」。ジェンダー/人権/多民族 をテーマにした台湾漫画の複製原画など21作品が、2025年8月22日(金)〜 9月26日(金)までの約一ヶ月間、台湾文化センターにて展示予定ということで、台湾の漫画作品の魅力を知るにはぴったりのイベント。これは見逃せません……!

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台湾社会のリアルな空気をすくい取るように、台湾の人々の生き方を丁寧に描き出す阮光民(ruǎn guāng mín/ルアン・グアンミン)先生。代表作である『東華春理髪店』や『用九商店』はドラマ化もされており、特に『用九商店』は、日本語タイトル『いつでも君を待っている』として国内でも放送されていました(現在は Amazonプライムビデオ などで配信中)。

◆ 阮光民(ルアン・グアンミン)先生 プロフィール
台湾の漫画家。作品は数々の漫画賞で高い評価を得ており、第8回金漫賞「青年漫画賞」および「年間漫画大賞」、第11回「多領域応用賞」および「年間漫画賞」、第15回「金漫大賞」および「年間漫画賞」、さらに第14回日本国際漫画賞銀賞などを受賞。
創作活動に加え、小説や舞台作品のコミカライズにも携わっている。
2011年以降、フランス・シャンベリ漫画祭、釜山漫画祭、フランス・アングレーム国際漫画祭、ドイツ・ベルリン文学会でのアーティスト・イン・レジデンスなど、数多くの国際交流に招待されてきた。
阮光民の代表作といえば『東華春理髪店』。本作は台湾で2002年にドラマ化され、さらに『用九商店』も2019年にドラマ化された。近年は文学作品のコミカライズにも取り組み、2020年に『歩道橋の魔術師』、2023年に『一桿秤仔』、2024年に『パパイヤのある町』の漫画版を手がけた。2025年には李喬の短編小説をコミカライズした『哭聲(漫画版)』を発表している。

『幸福調味料』『用九商店』『歩道橋の魔術師』『東華春理髪店』などの作品は、フランス・ドイツ・日本・イタリアなどでもライセンスされている。
漫画家兼イラストレーターとしても活躍中で、2022年に執筆された長編漫画『芭蕉の芽』では、金漫賞「年間漫画賞」を受賞。さらに続編である『芭蕉の芽 vol.2』で日本国際漫画賞銀賞を受賞された、左萱(zuǒ xuān/ズオシュエン/さけん)先生。
台湾文化や歴史を主人公たちの青春とともに描く、その生き生きとした表現が魅力で、老若男女問わず幅広い層から支持されています。

◆ 左萱(さけん)先生プロフィール
マンガ家・イラストレーター。2015年に初の長編漫画『神之鄉』を出版し、日本国際漫画賞銅賞を受賞。作品は日本語、フランス語、イタリア語、ベトナム語に翻訳され、テレビドラマ化もされており、2020年に放送。台湾代表として、2017年のフランス・アングレーム国際漫画祭およびドイツ・フランクフルト・ブックフェア、2022年のイタリア・ルッカ・コミックス&ゲームズ、2023年のスイス・ローザンヌ漫画祭に参加。

2017年には『漫画版植劇場』(台湾のテレビドラマのコミカライズ企画)に参加し、『五味八珍的歳月』の漫画版を制作。2022年からは長編作品『芭蕉の芽』を執筆し、第14回金漫賞「年間漫画賞」を受賞。2025年には続編『芭蕉の芽 vol.2』で第18回日本国際漫画賞銀賞を受賞。
Facebook: zuohsuan
Instagram: zuohsuan
最後にご紹介するのは、漫画、イラスト、小説の3分野で活躍し、主にBLの二次創作やオリジナル作品で、BLファンを中心に幅広い読者から熱い支持を得ている重花(chóng huā/チョンホア/かさか)先生。日本人のファンを多く抱えており、現在はX(旧Twitter)も活用されていて、日本語での発信も積極的にされています。 https://x.com/kasaka_tw

◆重花(かさか)先生プロフィール
中学時代から同人活動をスタートし、大学在学中に商業小説でデビュー。漫画・イラスト・小説と三領域で才能を発揮し、表紙や挿絵も多数手がける「全方位型クリエイター」として知られる。
現在はBL漫画を主軸に、締切の合間に小説も執筆。
近年の主な作品に、愛らしくて少し意地悪な恋の駆け引きを描いた『小惡魔的愛情病歷』、執事×ご主人の胸高鳴る主従ラブ『レオさまの執事は閨事も請け負います』、そして緻密な心理描写や美しい絵柄が魅力の『白蛇の誤算』などがあり、BLファンを中心に幅広い読者から熱い支持を得ている。

ー それでは早速、先生方にお話を伺っていきたいと思います。まず最初に「漫画家を志した/創作を始めたきっかけ」について教えてください。
(阮光民先生)
小さい頃、文字だけの本よりも絵があるものの方が好きだったんです。私が育った1970年代は、多くの親が子どもに漫画を読ませたがらなかった時代でしたが、母はよく漫画を買ってくれました。母は家事や仕事で忙しかったので、私が漫画に夢中になっていれば手がかからないという思いもあったのでしょうね。
漫画やアニメを見ると、すぐにペンを取って真似して描いていました。「科学忍者隊ガッチャマン」や「マジンガーZ」、「スペースコブラ」、「キャンディ・キャンディ」などが、練習に描いた思い出の作品です。
本格的に漫画の世界に入ったきっかけは、同級生が新聞で「漫画家がアシスタントを募集している」という情報を見つけてくれたことでした。当時、私は兵役を終えて看板デザインの仕事をしていたのですが、自分の作品を応募したところ採用され、そこから約6年間アシスタントを務めました。その経験を経て、ようやくプロとしてデビューすることができたんです。
(左萱先生)
大学時代に友人と同人イベントに参加したのが、漫画を描き始める大きなきっかけでした。その後、少しずつ出版社と商業作品でお仕事をさせていただくようになり、イラスト、短編、そして長編へと段階的にステップアップしていきました。
大学院に進学した際、「漫画を職業にするのか、それとも別の道に進むのか」という大きな選択に直面しました。そのとき、自分に漫画家としてやっていける力があるのかを証明したくて、1本の作品を最後まで描き切ることを決意しました。当時CCC創作集(※)とお仕事をご一緒しており、編集さんたちと雑談していた中で(ちょうど台湾の宗教について話していました)、少しずつ『神之郷』の構想が生まれ、この作品がデビュー作となりました。
(※)CCC創作集(Creative Comic Collection)
台湾の歴史や文化をテーマにした漫画作品を掲載する、台湾発のデジタルコミックプラットフォームおよび雑誌。2009年に創刊され、2020年からはオンラインで無料公開されている。https://www.creative-comic.tw/
(重花先生)
もともと絵を描くことと漫画を読むことが好きで、特別な理由があったわけではなく自然と描き始めました。そして、気がついたら漫画家になっていたという感じです。
以前は「どこまでやれば漫画家と名乗っていいのだろう」と思っていたのですが、これまでに単行本もたくさん出せたので、もう自分を「漫画家」と名乗っていいのではないかと思っています。
ー 皆さんそれぞれに違うスタートだったんですね。次は、日本との関わりについて、例えば日本のカルチャーなどから受けた影響があれば教えてください。
(阮光民先生)
私の祖父の世代は日本統治下で教育を受けていたので、家庭の中にも日本語が自然に入り込んでいました。たとえば、叱られるときには日本語が混ざったり、祖父たちは内緒話を日本語でしていました。
成長する中で、日本の漫画はもちろん、音楽や流行文化、アイドル、ドラマ、日用品まで、日本の文化は台湾の生活に深く根付いていました。そうした環境で育った私にとって、日本文化が自分の感性に影響を与えないはずがありません。
そしてそれは創作者だけでなく、読者にも共通する部分だと思います。今でも台湾では、お正月に「紅白歌合戦」を観る家庭が多いんですよ。そういった日常の中で、「良いもの」という価値観にも、日本文化の影響が自然と入り込んでいるんです。こうした文化の中で育っていく中で、少なからず「日本の基準」という意識が生まれ、それが創作にも反映されるのです。
海外の展示会ではよく「台湾の漫画と日本の漫画の違いは何ですか?」と聞かれるのですが、見た目だけでは違いは分かりにくいかもしれません。読んでみて初めて、その背景にある文化や感性の違いを感じ取れるものだと思っています。まるで、見た目の似ているアジア人2人の出身地を、会話やふるまいから知るような感覚ですね。
また、海外での展示を通じて、日本の漫画の影響がすでに多くの国に広がっていることも実感しています。
(左萱先生)
両親が日本語の先生だったので、字が読めない幼い頃から「行きましょう」「ちょっと待って」といった日本語のフレーズは自然に使っていました(大人になってからはあまり日本語を勉強し続けてはいないのですが…)。日本文化にも小さい頃から親しんでおり、母がこけしが大好きで集めていたのをよく覚えています。
学生時代には友人の影響で日本の少女漫画や少年漫画を読むようになり、後には『三國無双』や『戦国BASARA』に夢中になってオタクになりました。創作のスタイル(画風や物語)においても日本文化の影響は大きく、たとえば、日本では何冊にもわたる長編作品が多く、それにずっと憧れていました。そして、自分もそういった長編の物語を描きたいと思っています。
(重花先生)
特別なつながり…そうですね、今は原稿料の半分が日本円というのはカウントされるでしょうか(笑)。
日本は長い間アジアのACG文化(※)をリードしてきた存在ですから、台湾の作家は多かれ少なかれ日本作品の影響を受けていると思います。特に画風の面での影響は大きいですね。私自身、日本市場にも溶け込めるスタイルを追求してきましたし、強く影響を受けた作家もほとんどが日本の漫画家です。
(※)ACG文化
アニメ(Anime)、コミック(Comic)、ゲーム(Game)の3つの要素を核とする、二次元コンテンツの総称。1990年代半ばに台湾で使われるようになった用語で、現在は中国本土や香港などの中華圏で広く利用される。
ー 改めて、ご自身の作品を通して読者に伝えたいことはなんですか?
(阮光民先生)
歴史を振り返ると、台湾という島を、多くの文化が通り過ぎていきました。その中で台湾は、それぞれの文化を融合し、独自の形を作り上げてきました。
よく「台湾とはどんな国ですか?」と聞かれるのですが、それを一言で説明するのはとても難しいです。私の作品も同じで、「何を伝えたいか」を言葉でまとめるのは簡単ではありません。それよりも、読者が私の作品から何を感じ取り、どう受け止めてくれるのか―そこに一番関心があります。
たとえば、私の『用九商店』という作品が伝えたいのは、「進歩」とは必ずしも「古いものを排除すること」ではないということ。新しいものと古いものは共存できるし、人が環境や自然を大切にすれば、それらも人間に応えてくれる──そんな思いがあるのかもしれません。
でも、読者がそこから得る感想はもっと多様で広がりがあるはずです。
それこそが作品の魅力だと思います。読者が読むことで、作品にさらに豊かな解釈が加えられるのです。
(左萱先生)
作品ごとにテーマは違います。『神之郷』は「帰る場所」を描いた物語ですし、『芭蕉の芽』第1巻では「自由」をテーマにしています。ただ、読者の方が作品から何を感じ取るかはそれぞれで構わないと思っていて、とにかく楽しく読んでいただけたら、それが一番です。
そして、もし登場人物を好きになっていただけたら…それが私にとっては一番大きな達成感を感じる瞬間であり、目標でもあります。
(重花先生)
とても難しい質問です。作品ごとに内容によって伝えたい部分は少しずつ違いますが、多くの場合、私はまず ”物語を最後まできちんと語り切る” ということを大切にしています。
ー 今回の台湾文化センターでの漫画展「-Colorful- ダイバーシティ in 台湾漫画」について、期待していることや想いがあれば教えてください。
(阮光民先生)
今回「-Colorful- ダイバーシティ in 台湾漫画」展に参加できてとても光栄に思います。このイベントを通じて、日本の読者に台湾の漫画を紹介し、日台の友好交流を深められることを楽しみにしています。
ここ10数年、文化部の支援のもと、台湾の漫画は作品数やテーマの多様性、海外展開やライセンス契約など、多くの面で着実に発展を遂げています。そして海外の読者が、漫画を通じて台湾の創作や台湾という国そのものを知るようにもなってきました。
台湾の漫画は日本の漫画から大きな影響を受けていますが、同時にその吸収過程で、台湾独自の漫画的な表現も生まれています。
今回の展示を訪れる皆さんには、作品を通して台湾のユニークな歴史や生活様式、そして台湾の土地が育んできた風景を感じ取っていただけたらうれしいです。
(左萱先生)
やはり一番の願いは、作品を日本の読者の皆さんに直接届けられる機会を得ることです。私の作品には、日本文化と台湾文化の融合や違いが含まれていますので、作品を通じて日本の読者と文化交流ができたら最高ですね。
また、今回の訪日を通して、日本の文化や歴史をもっと深く知ることができるのではないかと、とても期待しています。
(重花先生)
この展示をきっかけに、少しでも台湾の作品や文化に興味を持ってもらえたら本当に嬉しいです!
先生方、丁寧に質問に応えていただき、本当にありがとうございました!
3人の先生方には、2025年9月10日(水)に公開予定の Podcast「台湾好き女子のゆるっとおしゃべり」エピソード #74 にもご出演いただく予定です。読者の皆さんもどうぞお楽しみに〜!

さて、台湾文化センターが主催する、台湾漫画の展示「-Colorful- ダイバーシティ in 台湾漫画」は、2025年8月22日(金)から9月26日(金)までの約1ヶ月間開催予定です。誰でも気軽に閲覧できる無料の展覧会なので、漫画好きの皆さん、また「これを機に台湾漫画に触れてみたい!」 という方はぜひ遊びに行ってみてください。
ちなみに台湾文化センターには「閲覧室」という部屋があり、こちらも誰でも無料で出入りすることができます。今回ご紹介した3人の先生の作品はもちろん、台湾に関連するさまざまな文献、ガイドブック、ZINEなどが読み放題という夢のような空間! 図書館に行くような感覚で、ぜひ気軽に足を運んでみてくださいね♪
なお、台湾漫画に関連するお話は、Howto Taiwanが運営するPodcast「台湾好き女子のゆるっとおしゃべり」でも ep.73&74 のニ回に渡って配信予定です。台湾文化センターのセンター長である曾鈐龍(céng qián lóng)さんと、台湾など中華圏の漫画作品を多数日本語に翻訳されている、ライター/翻訳家の沢井メグさんをゲストにお招きしたおしゃべりも♪
ぜひあわせてチェックして、台湾漫画の世界に触れてみてくださいね。
最後までご覧いただきありがとうございました!
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