2018.4.13
ホームレス状態の方の自立支援プロジェクトとして知られる雑誌「THE BIG ISSUE」の台湾版が、今世界のクリエイターたちからも注目されているのをご存知でしょうか?デザイン関係のお友達への台湾土産などにもおすすめ!その魅力をご紹介します。
大家好!編集長の小伶(しゃおりん)です。
最近、台北の街を歩いて「あ!見つけたー!」と思わずテンションが上がったのが、台湾版の雑誌「THE BIG ISSUE(ザ ビッグイシュー)」。ビッグイシューといえば、ホームレス状態の方が路上で販売をしていることで日本でもお馴染みですが、現在は世界5ヶ国で発行されていて、その国々にそれぞれの販売員の方がいらっしゃるんです。
台湾もその国の一つ。なのですが!
実は今、この「THE BIG ISSUE」の台湾版が最高にクリエイティブでオシャレ! と世界的にも話題になっているのをご存知でしょうか?
私も以前、台湾カルチャーを五感で味わうスペース「台感」で開催されていたトークショーで、雑誌「ソトコト」の編集部の方のお話を聞いて初めてその奥深さを知ったのですが、今や世界中のデザイナーたちが「台湾へ行ったらお土産に買ってきて!」と話題にしているのだとか。
ビッグイシューって、ただの雑誌でしょ?と侮るなかれ。
その斬新なクリエイティブや、書店では買えないバックナンバーの数々、そしてなぜ台湾版がこんなにもオシャレなの?という理由をご紹介します。
まずは、私が最近購入したばかりの台湾版・ビッグイシューをご紹介。じゃん!
アイルランド生まれの著名なイラストレーター、ローラ・キャラハン(Laura Callaghan)によるカラフルなイラストが表紙を飾っています。
おもわず、ポップカルチャーやデザインを愛する人のための雑誌?と思ってしまいますが、内容は政治、経済、エンタメ、イベント情報、世界を騒がせている話題など様々。
中国語が分からなくても、台湾の日常が垣間見えるような気がして、ついつい手に取りたくなっちゃいます。
そんな THE BIG ISSUE、販売されているのはオシャレな本屋さんではなく、例えばこんな場所。 こちらは台北駅の路上で販売をされていた、販売員の優しいおじさま(この方はご夫婦で販売をされているそう)。特別にお願いして写真を撮らせていただきました。
こんなオシャレな雑誌が路上で売られているなんて!
ぱっと見ただけでは想像もつかないですよね。もちろんお値段も100元(約360円)という手軽さ。一冊を売るごとに、その半分の50元が販売員の方の利益になります。
台北駅近くで販売しているこちらの方は、バックナンバーもかなり沢山!揃えていましたよ〜。
あるときは台湾の人気アーティストの写真だったり、世界的に有名なクリエイターによる作品が使われていたりと、表紙のテイストも様々。お気に入りを揃えたい!と、その後はオンラインで気になっていたバックナンバーをいくつか購入しちゃいました。
きゃ〜!どれもかなりツボ!♡
どの表紙も目を引くデザインで、台湾のオシャレ書店として知られる「誠品書店」に置かれていてもおかしくないビジュアル。さりげなくお部屋に置いたり、お気に入りのページをポスターのように飾ったりしたくなります。
ちなみに一番右の白い表紙は、台湾では女性歌手としてカリスマ的な人気を誇っている 蔡依林(ジョリン・ツァイ)。ピザをこっそり手に取るキュートな一面が表紙になっていますが、中の特集では、歌手生命をも揺るがす病を患っていた過去をインタビューで語るなど、しっかり読み応えのある内容になっていました。
さて、興奮気味にお伝えしてしまいましたが、そもそもビッグイシューは、ロンドンから始まったホームレス状態の方の仕事をつくり自立を応援する雑誌・新聞のネットワーク。
ビッグイシューの販売員の方は100元でこの雑誌を販売し、売上の半額である50元がホームレスの方の利益になります。日本では350円で販売され、そのうち180円が販売員の方の収入となります(2018年4月現在)。
※キュレーターのれいちぇるが台中「審計新村」で見かけた販売員の方。キャップ帽と赤いベストが目印です!
ホームレスの人の救済(チャリティ)ではなく、仕事を提供し自立を応援する事業として支持され、現在はイギリスに2誌、世界に5誌(南アフリカ、オーストラリア、韓国、台湾、日本)で「THE BIG ISSUE」という名前の雑誌があるのだとか(公式サイトより)。
そんなビッグイシューですが、なぜ台湾版がいま注目されているのか?
その理由の一つは、この雑誌の表紙デザインを手がけているのが、台湾でもトップレベルで世界的にも注目されている新進気鋭のグラフィックデザイナーの聶永真(アーロン・ニエ)氏ということ。
アーロン・ニエ氏といえば、歌手の田馥甄(ヒビ・ティエン)や 林宥嘉(ヨガ・リン)など、人気アーティストたちのCDジャケットのデザインをしたことでも知られています。ほかにも書籍や雑誌の表紙デザイン、また2016年台湾の大統領選挙の際は、蔡英文(ツァイ・インウェン)の選挙ロゴのデザインを手がけたことでも話題になったことも…。若者たちからも圧倒的な人気を誇るクリエイターなのです。
2010年4月から発行が開始した台湾版のビッグイシューですが、アーロン氏はその5号目から今日に至るまで、表紙デザインを担当しているのだとか。
そして、これは以前「台感」で開催されていたイベントで、ソーシャル&エコマガジンのソトコト編集部の方のトークショーで聞いたのですが、表紙のデザインをずらっと見てみると、そのレイアウトの斬新さというか、一般的な雑誌の定義に縛られないクリエイティブが目を引きますよね。
出典:http://www.bigissue.tw/recentissues
これは ビッグイシューが、書店には並ぶのではなく、販売員の方が ”手に持って販売する” という前提に基づいているからなのだそう。販売員の方がこの雑誌を手に持って掲げるとき、それは右手かも知れないし、左手かも知れない。横向きかもしれないし、表や裏、どちらの方向からも歩いてくる通行人が目にするかもしれない。だから通常の雑誌のように文字が横書きである必要もないし、背表紙がある必要もない。
そんな背景があるからこそ、一般的な書店の棚に並ぶ雑誌とは一線を画した、斬新なレイアウトやクリエイティブになっているんですって!うおおお、奥深し。
そういう背景を知った上でもう一度バックナンバーを見ると、そのクリエイティブにますます愛着が湧きますし、人にプレゼントするときのちょっとしたウンチクにもなりますよね。
ネットでも購入できるのですが、その人気ゆえ、バックナンバーは売切れになっていることも多いんです。なのでやっぱりオススメは、販売員の方を見かけたら、即!GETすること。バックナンバーを販売されていることも多いので、 你有賣過期的雑誌嗎?(ニィヨウマイ グォチィダ ザージー マ?/nǐ yǒu mài guòqīde zázhì má? バックナンバーはありますか?)と聞いてみても良いかもしれません。
冒頭でも紹介しましたが、私が見かけたのは、台北駅の新光三越の駅付近にいる方。
その他、一部の書店やカフェなどでも販売しているところがあるそうです。ネットでは販売場所一覧も出ていますが、日によっては販売員の方がお休みでいなかったりとまちまちなので、見かけたときがチャンス!ぜひ迷わずGETしてくださいね。
ちなみに一部の販売員の方は、通常の雑誌版とは違う新聞型メディア「The Affairs 週刊編集」も取り扱っていました! こちらは台湾版ビッグイシュー編集部の別プロジェクトだそうで、雑誌とはまた違う、新聞ならではの風合いが活かされています。
一般的な新聞らしく天気予報なんかも載っていたり、表紙に日本人クリエイターの作品が使われることもあるのだそう。
以上、いかがでしたか?
台湾のオシャレな書店巡りや、ユニークなZINEが好きな方にはぜひ!おすすめしたい「台湾版・THE BIG ISSUE」。デザイナーやクリエイターの方へのお土産にも喜ばれること間違い無し!ですよ〜。
最後まで読んでいただき、有難うございました!
\この記事をシェア/
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
台湾の最新情報をお届けします♪
関連する記事
第36回東京国際映画祭、台北映画祭2023 上映作品の台湾映画『台北アフタースクール』(原題:成功補習班)が、2…
2017年1月23日〜2月5日にて神田万世橋mAAchエキュートにて開催されていた「台湾品質」イベント。台湾の最新鋭の…
“これを聴かずして2016年のC-POPは語れない!”といえるアルバムがいくつかありますが、五月天の最新アルバムも…
2018/7/8、神戸にて第4回目となる「台湾女子ナイト」を開催しました。スペシャルゲストとして駆けつけてくれた…
Howto Taiwanでは、
台湾が大好きなキュレーターを募集しています!