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台湾史上最大規模の現代アートイベント「ロマンチック台三線芸術祭」に行ってきた! ロマンに満ちた客家文化の魅力をご紹介♡

2019.11.21

台湾の5つの県、全長150kmにまたがり開催されている台湾史上最大規模の現代アートイベント「ロマンチック台三線芸術祭」。2019年10月19日~12月15日 の期間、客家文化にとって主要な道路である「台三線」に台湾および各国を代表する芸術家が大集合しています♡ 実際に参加してきた様子をレポートでご紹介しますよ〜!

こんにちは! キュレーターのれいちぇるです。
いま台湾の若者たちの間で注目を集めているトピックといえば、アート。日本で開催されている「瀬戸内国際芸術祭」や「大地の芸術祭」などのアートイベントに出向く台湾の若者も多く、芸術に対する関心がとっても高いんです。

そんな台湾でも、今年初めて大規模なアートイベント『浪漫台三線藝術季(日本語:ロマンチック台三線芸術祭)」が開催されました!

2019年10月19日~12月15日 の期間で開催されている、台湾や各国を代表するアーティスト達の作品を楽しみながら台湾の土地と文化を学べるアートイベント。今までとは違った角度から台湾を堪能できること間違いなし! 今回は私が実際に参加してきたので、その様子をレポート形式でご紹介します♡

5つの県、全長150kmにわたって開催! ゆったり味わう台湾ロマン

ロマンチック台三線芸術祭」の「台三線」とは、台湾の国道3号線のこと。そのうち今回のアートイベントの対象エリアは、桃園から台中までの全長150kmの道のりです。19世紀、台湾茶や火薬の材料である樟脳(しょうのう)の輸送ラインとして、台三線は重要な産業道路でした。

そうした山間に散在しているのが、16もの客家の集落。
台湾好きの方にはおなじみかもしれませんが、「客家(ハッカ)」とは客家語を話す漢民族のこと。明朝末期から清朝初期にかけて台湾へ渡ってきた客家の人々は、台湾北部ではこの桃園~新竹~苗栗~台中の山間に多く住んでいます。当時は現地の原住民との衝突があり、また日本統治時代には日本人との攻防もありました。様々な過酷な歴史を経ながらも、そのやり取りの中でいくつもの心温まる交流も生まれてきたのだそう。

今回初めて開催された「ロマンチック台三線芸術祭」は、客家文化の復興を主な目的としていて、百年以上に及ぶ客家文化を有する「台三線」を舞台に、その過去と現在を繋ぐロマンに満ちた魅力を芸術作品や文化体験を通じて発信しよう!という試みなんだそうです。

ちなみにこちらのアートイベント、とにかく規模がすごい!
なんと台北~台中までの10のスポット(!)に渡って開催されており、5つの県市をまたいでいるんです。

画像提供: ロマンチック台三線芸術祭

イベントのテーマは「有的是時間(日本語:時間なら、たっぷりある)」。 自然の中に設置されたアートの中で、ゆったりとした時を過ごして、ロマンを感じよう!というのが、このアートイベント全体のコンセプトになっています。

総統府前に一面の干し柿が登場!? 圧巻の開幕式

画像提供: ロマンチック台三線芸術祭

10月19日に台北の総督府前の凱達格蘭(ケタガラン)大道で行われた開幕式。 こちらで観客を圧巻したのが、道路一面に登場した無数の干し柿クッション!(笑)

この干し柿も客家名物のひとつで、ザルに柿を干す製法も客家文化の有名な風習。その様子をそのまま再現した開幕式では、みんなこのクッションに座って日光を浴びて、まさに干し柿の気持ちになりながら(笑)、まったりとした時間を過ごしました。

当日は本物の干し柿もいただきました。肉厚で甘みが凝縮していて美味しかった~。

開幕式には、現任の蔡英文総統をはじめ、本イベント主催者である行政院客家委員会の代表者、またキュレーターチームの代表として林舜龍(リン・シュンロン)氏などが参加しました。

林舜龍氏は日本の「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」や「瀬戸内国際芸術祭」等に出展経験がある国際的芸術家で、日本との繋がりがとても深いアーティストの一人。今回のアートイベントにも、林氏との繋がりを持つ多くの日本人アーティストも参加しています。日台交流になっている一面もあるのが嬉しいですね!

画像提供: ロマンチック台三線芸術祭

イベントにちなんで作られた限定グッズや対象エリアを紹介する冊子など、どれもデザインに凝っていてスタイリッシュなものばかり!

日台のアーティストが集う、桃園「龍潭(ロンタン)」エリア

あまりに大規模なので、一体どこをチェックすれば!? と悩んでしまう方も多いはず。そこで私が、10のエリアのうち、おすすめのエリアをピックアップしてご紹介します。

まずご紹介したいのは、桃園県の龍潭(ロンタン/lóngtán)と呼ばれるエリア。こちらは林舜龍氏がキュレーターとして企画しているエリアで、多くの日本人アーティストの作品も展示されています。

画像提供: ロマンチック台三線芸術祭

龍潭までのアクセスは、台北から車で一時間ちょっと。
「三坑老街」という古くからの商店街が残っているエリアで、台北などの市内とは違った、のんびりとした時間が流れている老街です。

こちらは今回のイベントのために描かれたという壁画。 このエリアの作品がとっても可愛らしく紹介されています〜!

この老街のすぐそばの田んぼの中に現れたのが、日本人アーティストの景山健氏の作品「自然と共生共有」。こちら、自然との共生をテーマにした「割り箸アート」なんです!

竹枠に積み上げられているものは割り箸を三角錐に組んだもので、地元の人たちと一緒に割り箸を積み上げながら作品を完成させていくスタイルだそう。私が訪れたときはまだ作品の制作途中でした。

景山氏によると、日本での割り箸はもともと間伐材から作られており、木の無駄使いではなく、むしろ森林資源を有効活用した一種の自然との共存方法だそう。また展示の最終日には作品自体を燃やす予定だそうで、灰として土に戻すという日本人の自然に対する感謝を表す方法を台湾の皆さんにも伝えられたら、とおっしゃっていました。

(林舜龍氏と景山健氏)

このイベント、アート作品の展示物だけではありません!
参加者の方々に人力車に乗ってもらうという体験型のプロジェクトを企画しているのは日本人アーティストの増田拓史氏。この人力車はなんと増田氏の手作りだそう。椅子に座った人がペダルを漕ぐと前に進む作りになっています。

ただ台湾の方を乗せるというだけでなく、一緒に力を合わせて、人と人の繋がりを感じてもらいたいという思いから企画されたそうです。増田氏特製の3人人力車はこの日も道行く台湾の皆さんの注目の的でした。日台交流のきっかけにもなっているのが素敵ですよね!

さらに、老街から少し移動した三坑自然生態公園にも多くのアート作品が展示されています。こちらの竹に掛かっているのは林舜龍氏と王昱翔氏の作品、「稲の蛹(さなぎ)」。

中に入ると藁のいい香りに包まれ、またゆらゆら揺れる感じがほんとに蛹になったよう〜。すごく落ち着く空間です。

また公園にある広い湖には、日本人アーティストの水内貴英氏と台湾人アーティストの陳幸雄氏の作品「浮草庵」が浮かんでいました。湖を眺めながらゆっくり時間をかけてお茶をいただくという、まさにこのイベントのコンセプトにちなんだ作品。こちらはイベント後も常設されるそうですよ!

画像提供: ロマンチック台三線芸術祭

画像提供: ロマンチック台三線芸術祭

他にも林舜龍氏による、樟(くすのき)の年輪をイメージした作品も。 樟は客家の人たちにとって、重要な産業原料の一つでした。

画像提供: ロマンチック台三線芸術祭

画像提供: ロマンチック台三線芸術祭

また、取り壊しとなったある村の古い家々から集めた窓やドアを使って作られた作品「家の記憶風景」。この作品には、地元の子ども達と作ったタイルや地元の方々の写真なども使われています。

林舜龍氏は「アートイベントはただアーティストがやってきて作品を作るだけでなく、地元の人たちに理解してもらい、交流し、信頼関係を築くことが大切だ」とも強調していました。

龍潭エリアの作品マップ&詳しい紹介はこちらからご覧いただけます

◆ 龍潭までのアクセス:
桃園中壢バスターミナルで、「台湾好行」バス石門水庫線503に乗り、「三坑老街」バス停で下車。

歴史ある街並みにアートが融合、新竹「北埔(ベイプー)」エリア

さらにもう一つ、おすすめのエリアとしてご紹介したいのが、新竹県の北埔(ベイプー/běipǔ)エリア。北埔は客家文化を味わえる街、というイメージがありますが、台湾一、古跡密度が高い街としても有名で、100年以上の歴史ある街なんだそうです。

北埔エリアのイベントテーマは「未来の昔/THE UPCOMING PAST」。
地方文化は各種の往来や交わりによって形成されてきたもの。また過去と未来は鏡の表裏のようなもので、過去のそれぞれの時代や人物から、未来の姿が映し出されている。そんなコンセプトに基づいて、各国のアーティストたちによって異なる時代や歴史風景、異国文化を感じることのできる作品が街のあちこちに作られました。

画像提供: ロマンチック台三線芸術祭

北埔エリアの開幕イベントでは、80年代をテーマにみんな懐かしの仮装をしてパレードに参加! 街の皆が参加する一大イベントとしてとっても盛り上がっていました。

画像提供: ロマンチック台三線芸術祭

北埔老街ではレンガ造りの昔からの家屋が残っていて、一つ角を曲がるととても味わいのある路地裏が…! 素敵〜! どこを撮っても絵になります。街並みとアート作品がとても美しく融合しているのが、北埔エリアの展示の魅力のひとつ。もともとある建物や街並みを崩すことなく、アートが街に一体化していました。

これらの写真はひと昔前の北埔の風景や人々なんだそう。 イベント開催に際して、地元のお年寄りの方々から当時の話もたくさん教えてもらったと北埔エリアのキュレーター林怡華さんは話していました。

街歩きをしながら、ミクロなアート探しをするのも楽しい!
こちらは、スペイン人アーティストのIsaac CORDAL氏の作品、「街道物語」。

また、客家の重要な文化の一つといえば、台湾茶。
台三線沿いの客家の人たちが住む山間では台湾茶の生産が盛んで、台湾のスゴ腕のお茶名人には客家人が多いといいます。

客家人にとってお茶文化は生活の一部であり、昔から奉茶(フォンチャー/fèngchá)といって、道行く旅人やお客さんにお茶を提供する文化を大切にしてきたそうです。

こちらの建物は、昔台湾一のお茶会社のオーナーが所有していた「姜阿新洋楼」と呼ばれる洋館。昔は地元の人や各国からのお客さんもここに集まったのだそう。北埔の人たちにとって歴史的に思い出のあるこの場所でも今回のアート作品が展示されています。

藁で作られた敷物に座りながら、台三線の里山や川の流れの自然音を聴いて、ゆったりとした時間を過ごすことができました。

山へ繋がる階段に架けられたアーチ型の作品、James TAPSCOTT氏の「Arc Zero」も。 夜はまた昼間とは違った趣があり、それぞれで別の楽しみ方ができるのも良かったです。

北埔エリアの作品マップ及び詳しい紹介はこちらからご覧いただけます

◆北埔までのアクセス:
高鉄「新竹」駅から、「台湾好行」バスの獅山線5700に乗り「北埔老街」バス停で下車。

再来年には第2回目開催も! 大注目の台湾現代アートイベント

日帰りでは見切れないほど、見応えたっぷりの台湾の現代アートイベント。あまりに大規模だったのですべてのエリアはご紹介しきれませんでしたが、まさに「時間をたっぷりかけて」、ゆっくりと味わいたいものばかり。

(苗栗 大湖エリアの作品)

普段の台湾旅行ではなかなか知ることのできない客家文化を、こうやってアートを通じて、台湾の自然や歴史を感じながら体験できるなんて素敵ですよね♪

アートに興味ある人だけではなく、台湾の歴史や文化をより深く学んでみたいという方にもおすすめの体験でした。

(苗栗 大湖エリアの作品)

開催期間は今年の12月15日までですが、一部その後も常設される作品もあります。気になる作品があれば是非足を運んでみてくださいね!

主催者の方によると、再来年には第2回目を開催したいと考えているとのこと! 開催が決まった際にはぜひまたご紹介させていただきます。これからどんどん盛り上がっていくことが期待される台湾のアートイベント、引き続きご注目くださいね♡

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

ロマンチック台三線芸術祭 開催概要

会期:2019年10月19日~12月15日
公式サイト:http://www.romantic3.tw
公式フェイスブック:https://www.facebook.com/romantic3.tw/

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